事例3 水グリコール系作動油→脂肪酸エステルへの画期的な切替え事例


わずか1回のフラッシングで、水グリコール→脂肪酸エステルへの切替えに成功


クライアント様 簡易情報

事業内容


アルミダイカスト部品製造

対象設備


500t~2250tダイカストマシン 

課題


◆切替難易度の高さに関して

水グリコール系作動油は、難燃性において優れた性能を有しておりますが、反面、水処理性の悪さ・設備腐食・ホースやポンプ等の故障といった

トラブル発生リスクが高く、長期にわたる設備不具合の要因となっておりました。こうした背景から、近年ではよりメリットのある脂肪酸エステル系

作動油へを希望されるユーザー様が増加しております。ただし、従来の鉱物油によるフラッシング作業では、以下の問題があります。


①水グリコールと鉱物油が混合することにより、粘性物質(ゲル)が発生する

②フラッシング不足により、水グリの残留物が配管系統内に残存する


上記のような現象が発生すると、バルブやポンプなどの動作不良、フィルターの目詰まりなどのトラブルを引き起こし、

場合によっては機械のオーバーホール等の対応が必要となるケースもあります。これらが水グリから脂肪酸エステルへの切替えを妨げる最大の要因です。


◆水グリの水処理性について


近年、環境リスク低減の世界的な要求が高まっていく中で、油圧作動油による土壌、海洋、河川、大気の汚染が問題視されることが

多くなっております。特に水グリコール系作動油は、COD(化学的酸素要求量)が高く、漏洩時の水質の汚染レベルが高いうえに、

生分解が期待できないため、長期にわたり残留することが考えられます。鉱物油や脂肪酸エステルが仮に水中に漏洩した場合、

溶け合わずに分離するため回収が比較的容易ですが、水グリコールは完全に水に溶解してしまい分離回収は困難です。


ご提案

水グリ切替専用フラッシングオイルを用いた切替え


フラッシングには一般的に鉱物油が使用されますが、水グリコール系作動油は鉱油との相溶性が低く、混ざることで沈殿物やゲル状物質が

発生することがあります。このため、複数回のフラッシングが必要になり、機械停止時間の増加や生産性の低下につながるだけでなく、

フィルターや配下の詰まり、機械故障などのリスクを伴います。

 

弊社がご提案する専用フラッシングオイルは、水グリコール系作動油が混入してもゲルの生成を抑制するよう設計しています。

そのため、わずか1回のフラッシングで安全かつ確実に切り替えが可能です。従来のように何度もフラッシングを繰り返す必要がございません。


さらに、このフラッシングオイル生産中にも使用できるため、設備を止めることなく、

お客様のスケジュールに合わせた計画的な脂肪酸エステルへの切り替えが可能です。



例:①土曜日に水グリ抜き取り+フラッシングオイル投入

  ②平日は通常生産

  ③設備の稼働がない日にフラッシングオイル抜き取り+脂肪酸エステル投入



※弊社では事前にお客様が使用している水グリコール作動油サンプルをお預かりし、ラボでの性状分析や各液との相性を確認し

 最も安全な方法をご提案いたします

効果

■スムーズで安全な切替えを実現


専用フラッシングオイルを使用することで、ゲルの生成なく安全に切替えを実施することができました。従来の鉱物油による切替では、最低でも

3回程度のフラッシングが必要で、工事期間が長引き、トラブル発生リスクも高い傾向にありました。


しかし、今回のお客様ではわずか1回のフラッシング作業で切替えが完了。

作業は1日で終了し、機械停止による生産への影響を最小限に抑えることができました。


■省エネの実現


脂肪酸エステルへ切替後は、潤滑性の向上によりポンプの圧力損失が大幅に軽減。その結果、運転時の騒音が低減し、

部品の故障頻度も減少。ポンプ寿命が5倍以上に伸びました。


また、潤滑性の向上により、水グリコール系作動油を使用時と比較して、電力使用量を10%程削減する効果を確認いたしました。


■環境への配慮


植物由来の脂肪酸エステルをご採用いただいたことで、カーボンニュートラルへの取り組みを推進しました。

生産効率の向上と環境負荷の低減を両立する結果となりました。


コメント

弊社ではこれまでのノウハウを活かし、事前のリスク調査を徹底することで、難易度の高い脂肪酸エステルへの切替えを実現しております。

脂肪酸エステル切替え後も、安全に機械をお使いいただけるサポートをさせていただきます。

これまで水グリコール系作動油の切替えを諦めていたお客様、ご興味ございましたら、"お問い合わせフォーム"からお気軽にご相談ください。